プログラミングスクールの広告によく出てきそうな文句ですね。
「未経験からプログラマー」
「3ヶ月前まではウェイターをしていました」
とか、何とかそういう感じの文言。
のせられました。
いや、正確に言うと、
知り合いで、未経験にも関わらずIBMのソフトウェアデベロッパーになった人がいたことに衝撃と刺激を受けました。
この話を聞いた時に思いました。
私もデベロッパーになろう、と。
プログラミング自体に興味を持ったのは3年前。
Excel VBAを触ったことがきっかけでした。
ほんの2、3行コードを書くだけで、こんなに業務が楽になるなんて!
という驚きがプログラミングの面白さになりました。
それからもっといろんなことができるようにとPythonの独習を試みました。
が、挫折。
動的型付けに馴染めませんでした。
それからは、業務でたまにVBAをいじる程度で、
プログラミングを本業にしようなんて考えすらしませんでした。
それが、未経験でも異業種でも外国人でも女性でも20代じゃなくても、
大手企業にディベロッパーとして転身を遂げられる可能性があることを知ってしまい、
悩み、決意しました。
私も挑戦してみよう、と。
大幅なキャリアチェンジに踏み切ろうと考えた理由は、色々あります。
- これまではものづくりに関わりたいという思いから、
希望して製造業で働いてきたものの、
これ以上製造業で興味を持って働くことができないと思ったこと。
(ー> ものづくりが楽しいと思えたのは、改善の文化があったから。
それが、ドイツに来てからは、ほとんど感じられなくなった。
製造業で何か大きな変化を起こすには、投資のためのお金、時間、議論が必要で直ぐには起きなかった) - 現在の職務でキャリアを伸ばしていきたいという意欲が湧いてこなかったこと。
(ー> この先ずっと品質畑で働きたいとは思えなかった) - 見知った業界、職務に居続けた場合、今後飛躍的な自己成長は望めないと思ったこと。
(ー> 品質だけでなく、製造、開発等、いろんな部署を経験してきたので、
その方面に関することであれば、ある程度の経験や知識を培ってきた。
今後はこの蓄えを使えばそこまで努力をしなくても、ある程度業務をこなせてきてしまうだろうことを悟ってしまった) - 製造業の変化の遅さ、自分のキャリアの停滞感とは対照的に、IT業界は日進月歩のスピードで変化している。その変化についていくため、IT業界で働く人たちは、常に勉強している。自分も、その技術の発展を消費者として傍観するのではなく、わずかでも貢献できる立場になって貢献していきたい。自分が作ったモノで誰かの生活をちょっとでも便利にして、役に立ちたい。
日々勉強して、自己成長させていきたい。
日々勉強しているような活気に溢れた人達のいる環境に身を置きたい。 - 場所に捉われずにできる仕事に就きたい
- 副業を取りやすいスキルの身に付く仕事をしたい
こんな訳で、
昨年コロナ禍でロックダウンが導入される直前に、プログラミングスクールに申し込みました。
スクールに通うことにしたのは、
独習ではまた挫折の可能性があること、
異業種未経験、もう若くはない身でキャリアチェンジを成功させるには、
スクールで人的ネットワークを作る必要があると思ったからでした。
フルタイムで二ヶ月みっちり短期で学ぶコースもありましたが、
私は仕事を続けながらできる六ヶ月のパートタイムコースを受講しました。
スクールのことは、「卒業」の記事でも書いているので、かぶりますが、
当初の終了要件は、週3日(火木土)の授業への出席必須。
理由の如何を問わず、3回欠席したら落第、という厳しい条件がついていました。
学校は、自分の住んでいる街から電車で片道3〜4時間かかるところにある首都ベルリン。
直属の上司と社長に相談して、
授業のある日(火木)は2時間早退、その翌日(水金)は始発で帰って1時間遅れで出社、その分長く働いて帰社。
勤務時間の足りない分は、これまでの残業貯金を切り崩し。それでも足りなければ有休消化。という形で半年間過ごすことに、同意してもらいました。
それがコロナで一変。
頑なに、授業への在席必須を固持してきた学校が、
ロックダウンが導入されたために、オンライン授業へと切り替わりました。
3月末から開始された授業は5月まで完全にオンライン授業。
6月からは、週末は学校に来ても良い、というハイブリッド形式に。
キャンパス通学が許可されるようになってから、
私は毎週末ベルリンに通学しました。
高額電車乗り放題券を使いたかったからだけではなく、
人的ネットワークを作りたかったからでもありました。
そうして昨年8月に無事卒業。
卒業後二ヶ月ほどは、あまり必死になって転職先を探しませんでした。
「卒業生の約96%が半年以内に仕事を見つけています」
という学校のマーケティング文句を鵜呑みにして、
”そんなに売り手市場なら、ちょっとだけ休憩しても大丈夫かな”、
などと思い、緩んでしまったのでした。
アホでした。
フレッシュさが失われる前に、卒業後こそ集中的に転職活動をしなければならなかったのに。
そうして、一番売り手になる卒業後タイミングを逃して、
同窓生達がどんどんディベロッパーになるのを見ては、落ち込んでいきました。
「ああ、自分だけが見つからない。どうしよう。どんどん歳だけ取っていく。」
焦ってきました。
「ああ、どうしよう。何をしよう。
あれも、これも、知らないから、あれもこれも勉強しないと。
ああ、でも、どうしよう。手が回らない。時間が足りない。。。」
気持ちだけが空回りしました。
書類選考は通らない。
仮に通ったとしても、面接で落とされる。
技術課題で通らない。
落ち込みに拍車がかかりました。
どうじよう、やっぱりダメなのかな。
異業種、未経験、高齢、外国人女でディベロッパーになりたいなんて。
考えてみれば、IBMに行ったあの知り合いは、未経験とは言え、元マックスプランクの研究者だった。
あの人はキャリアチェンジしたとは言え、もともとIT業界にいた人だった。
あの人は未経験異業種とは言え、元弁護士で特殊技能を持っている人だった。
あの人は、、あの人は、、、あの人は、、、、。
失うものは何もない挑戦とは言え、うまくいかない転職活動に、
人と自分を比べては落ち込み、消耗していきました。
そんな中、学校主催の採用イベントに参加。
事前に課せられた技術課題が解けず、
直前まで参加を迷いましたが、ドタキャンするのが嫌だったというそれだけの理由で、
とりあえず履歴書と課題を送って、参加しました。
自分にチャンスはない、と思っていたので、
イベント中、発言する勇気は出ませんでした。
”はあ。ダメだったなあ。悲しい(;_;)
採用はダメでも、この課題は完成させたいから、
学校の卒業生で今この会社に働いている方に聞いてみよう”
そう気持ちを切り替え、イベント終了後に、卒業生にコンタクト。
自分の疑問点、どこまで分かってて、何が分からなくて課題が解けないのかを、
スライドにまとめて、質問。
その方はちょうど激務の時だったようで、追って回答する旨の返信だけいただきました。
その数日後。
課題が解けなかったにも関わらず、何故か書類選考通過の連絡。
面接の招待を受けました。
面接は、技術のシニア職の人と1対1、30分のオンライン面接。
いつもなら英語に逃げる所ですが、この時はダメ元でドイツ語で応えました。
「課題どうだった?」の質問に、
「本当は別の方の職種に興味があったんだけど、
学校から自信がなければこっちの課題をやるように勧められたので、こっちの課題に取り組んで、この職種に応募しました。でも、やっていくうちにこっちの方面も面白いと思いました。全部解けませんでしたが(^_^;)」
と、応募した職種がめちゃくちゃ希望していた訳ではなかったことを、
面接早々にばらしてしまいました。
ああ、終わった。。。_l ̄l○
それから、技術的なこと、現在の仕事、勤務地希望、勤務可能開始日、給与希望、趣味などを聞かれた後で、
「うちの採用ステップは、通常は面接してから技術課題って流れなんだけど、
この学校のイベントの場合逆になったんだよね。
できなかった課題の部分、一緒にやっても良いっていう同僚がいるか聞いてみるよ。
もし興味を示す同僚がいたら、僕かもしくはリクルータから連絡を入れるから。
逆に、何か聞きたいことがあったら、連絡して。」
という感じで、面接終了。
はあ。ダメだ。通る要素がない。
何故か分からないけど、
せっかく頂けた面接のチャンスを自らダメにしてしまった(;´д`)
と、自分のダメさに落ち込んだ、二日後。
金曜日のお昼にリクルータから電話が入りました。
「急なんだけど、今日うちの同僚と社長と話す時間取れる?
うちの会社で何ができるかを話してもらったら、オファーを出すから」
と。
へ?!(°◇°;)?!
何ですと?? ゚(∀) ゚ ?
オファーを出す???Σ(。Д。lll
「何ができるか」って部分は気になったけど、二つ返事で承諾。
金曜日の夕方から話をしました。
話、というか面接でした。
社長はカメラの映らない所に隠れていたので、
面と向かって話をしたのは、私が所属することになるチームのヘッドとリーダーでした。
チームヘッドが開口一番、
「水曜日に面接した僕の同僚から、連絡をもらったんだ。
”うちの会社にぴったりな子が一人いた。ただうちの部署にはもう空きがない。
君の所でどうか”と」。
Σ(゜Д゜lll)エッ!?
何ですと?!(゚Д゚)?
絶対ダメだと思ってたのに、
あの方、そんな風に繋いでくださっていたなんて(;_;)。
「という訳で、当初希望した職種ではなくなるけど、良い?」と、意向確認。
オファーしてもらった職種が、元々興味のある方面だったので、むしろ大歓迎。
職種に関してはこれ以上望めないほど大満足。
それから、多少の技術知識チェックもされました。
とりあえず何かしら返答。
給与、条件は提示されるがまま同意。
で、採用。
へ?
マァァァ━━━(゜Д゜;ノ)ノ━━━ジデェェェ!??
いいんですか??
ということで、
来月からジュニアディベロッパーとして新たなキャリアを開始します。
採用が決まった時。面接終了後は、嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。
ワクワクが抑えきれず、奇声をあげながら、家の中を小走りしてしまいました。
それでも気持ちが収まらず、日記を書いて、気持ちを落ち着けました。
こんなに気持ちが湧き立ったのは、いつ以来だろう?
ってくらいに、興奮しました。
ただ、採用されたとは言え、これはようやくスタート地点に立てたということ。
これからが、本番。
半年間は試用期間です。
ドイツの試用期間は、形式的なものじゃないので、
「こいつ、使えない」
と思われたら、容赦なく首を切られます。
なぜ自分が採用してもらえたのか今でもよく分かりませんが、
とにかく一度頂いたポジション。
半年間の試用期間を生き抜きます。