ドイツからこんにちは。

ドイツの日常で見たこと、聞いたこと、思ったことを気ままに

ドイツで誘発分娩

ドイツでは、妊婦検診は診療所のような婦人科医で診てもらい、出産の時だけ産科のある大きな病院に行きます。

自宅出産を希望する場合は、助産師さんに家に来てもらって自宅で産むこともできますが、私は産科での出産を希望。

私の街には産科病院が三病院ありますが、そのうち小児救急のあるのは一病院だけ。

私にはリスク要素があったので、万が一でも安心な小児救急のある病院で産むことにしました。

病院のサイトには事前登録は要らないと書いてあったのですが、病院に電話した所、予定日の1ヶ月前に産科の医師と出産計画について話し合うための予約を入れてくれました。

私は妊娠糖尿病持ちの高齢妊婦だったので、予定日までに陣痛がこなければ誘発分娩を行うことに決まりました。

まずはバルーンを入れて、1日待って陣痛がこなければ陣痛促進剤の錠剤を服用するという流れ。

出口(子宮口)が開いていないのに陣痛がきてお腹だけ痛くなっても、赤子は出てこれず無駄に痛い思いをするだけなので、まずは機械的に出口を開こうという作戦。

 

予定日までに陣痛が来ることを淡く期待しましたが、予兆は全く無く。

子宮口は固く閉じたまま。

 

<予定日>
ということで予定日の13時に産院へ。

予約通り来ましたと受付に言うと、予約が入っていない、と。

産院の医師から婦人科医に宛てた書面に書かれていたから私の勘違いってことはないんだよなあ、と思い粘っていると、

「医師の所見は見つけた。けどシステムに予約が入っていない。今日は帝王切開の予約が立て込んでいる」

と。

え、そんなこと言われても。。。どうなるんだ、私(・ω・;)

続いて、「Einweisung(アインヴァイズンク。指示書)は?」と。

「先月来た時に渡しましたよ」と答えたら、

「先月もらったのはÜberweisung(ユーバーヴァイズンク。委任状)。EinweisungとÜberweisungは違う」と。

え、そうなの?!そういえば妊娠39週で最後の妊婦検診で婦人科医に行った時、「Einweisungはいる?」って聞かれた気がする。

で、私「先月もらっているから大丈夫です」って答えた気がする。

しまった。

Einweisung とÜberweisung が別物だなんて知らなかった。医者から発行される何とかヴァイズンクって書類だからどちらも同じものだと思ってしまった。

Einweisung が無いと入院費用が保険でカバーされず、自己負担になってしまうとのこと。とりあえず5日以内に持ってくるということで、通してもらえました。

ふう。焦った。受付手続きでちょっとばたついたよ。ε-(´*)

 

まずは採尿、体温、血圧、CTG(胎児の心拍数)測定。それから医師の診察。

超音波で胎児を確認。赤子が元気に動き過ぎたため大きさを正確に測定できず。

まあ良いでしょう、とのこと。

はい、巨大児じゃないことが分かれば良いです。

それからバルーン処置について医師からの説明。カテーテルを触って確認までさせてくれるほど説明がとても丁寧でした。

そしてバルーンカテーテル挿入。

どれだけ痛いか心配していましたが、下腹が中から圧迫されるような、キーンとした感じがあっただけで、痛みというほどのものではありませんでした。顔をちょっと強ばらせればしのげる程度。

そこに水注入。水が入ってバルーンが膨らんでいる感じはなく、痛みは全くありませんでした。

ぶらぶら下がっていたカテーテルを止めてもらって終了。

さて家に帰るかと身支度を始めた所でお医者さん、私の年齢に気がついたようで、

「家に帰ることももちろんできるけど、年齢的にわずかながらリスクがあるから病院に留まることもできますよ。どうします?」と。

家にいても落ち着かないし、家で陣痛がおきてあたふたするよりはこのまま病院に残らせてもらった方が安心だと思ったので、

「それなら病院に残りたいです」と即答。

入院決定。

 

病室に案内されてから30分後に夕食が運び込まれ、食べ終えた頃に夫が入院バックを持って面会に来てくれました。

夫とは会えたのは1時間ほどでしたが、午後中気を張っていたので知った顔を見たらホッとしました。

 

夜一度CTG測定をしてこの日は終了。

23時前に床についたものの、なかなか寝付けませんでした。

案ずるより産むが易しというけれど、こんなにハラハラするくらいならさっさと産んでしまいたいと思いました。

 

<予定日+1日>

朝食前にCTG測定。測定途中に錠剤二錠を飲みました。この錠剤が陣痛促進剤です。

1回2錠、1日4回(1日合計8錠)、4時間おきに飲んでいくとのことです。

 

午前中出血があり、バルーンを抜いてもらいました。

いよいよ近づいてきたのか?!と期待が高まりました。

 

夕飯を食べている時から何だかお腹が痛い気がしてきました。

試しに痛みの間隔を測ってみたら、大体3、5分おきに痛みがきている模様。

いよいよ陣痛がきたか?!と思い、この日最後の陣痛促進剤服用の時に助産師さんに、

「痛みがある」

と言ったものの、

「それは普通のことよ」

と言い放たれだけでした。

前駆陣痛か微弱陣痛か何かなのかもしれませんが、本陣痛ではなかったのでしょう。

翌朝また錠剤を飲みに来るよう言われてこの日は終了。

 

<予定日+2日>
明け方もの凄い寒気に襲われて目が覚めました。全身ガタガタ震えていました。

ナースコールを押そうにも、寒過ぎて腕を布団から出せません。同室者に声をあげて助けを求めることもできません。

誰か気づいてー、と祈りながら、物凄い身震いに疲れて再び眠りにつきました。

これが陣痛促進剤の副作用なのかは不明です。

 

朝の悪寒が気になって、一体どういう陣痛促進剤が処方されているのかを看護師さんに尋ねました。

ずーっと「錠剤(タブレット)」とだけ言われていて、一体どういうものを服用しているのか知らなかったのです。

本来なら処置を決めた医師に確認しておくべきだったのに、「飲む段階になったら説明があるだろう」と思い込み、確認していませんでした。当然処方される時に説明はなく。

母が私を産んだ時、新薬を試したい医師に半ば無理やり陣痛促進剤を使われ、私を産んだ後の出血が止まらなかったそうです。幸い何とか出血が止まり、生理食塩水の注入だけで済んだそうですが、翌日も大量失血の後遺症で支えてもらわなければトイレにも行けなかったそうです。その当時陣痛促進剤による影響で分娩後の大量失血が原因で死亡した例もあったそうです。死亡には至らなくてももし輸血されていたら、当時の管理不十分な血液製剤が原因でC型肝炎にかかったりしていたかもしれないので、まさに命懸けの出産だったようです。

そんなホラー話を聞いておきながら、どんな陣痛促進剤が処方されて、どんな副作用があるのかをきちんと確認しておかなかったのだから、私も抜けています。

看護師さんは、

「自分は助産師じゃないから有効成分は分からない。ただAngusta(アングスタ)という名前だ」

と商品名を教えてくれました。

ネットで調べると、ドイツでは2020年9月から承認されて使用されている陣痛促進剤だということがわかりました。ただ、なかなかグレーなプロセスで認可された促進剤のようで、胎児への影響などまだ完全に明らかにされてないこともあるようでした。

そのことを伝えると夫も急に心配になったようで、明日にでも別の処置に切り替えるよう強く要請しろ、そうでなければ一旦退院して様子を見せて欲しいと頼んでみろ、と言ってきました。

今日陣痛が来なければ、明日も引き続き錠剤を飲んでいくと言われていたのですが、夫には言えませんでした。

 

夜19時半、最後のCTG測定と陣痛促進剤服用。

あー、今日も何もなかったなあ。また明日も同じことを繰り返すのか。┐(’~`;)┌

明日陣痛きたとしたら、長い1日になるから、早めに床に就くか。

と22時にはベッドに横になりました。

遅かれ早かれ必ずお腹から出てくるのは分かっていても、待つの、ほんと辛かったです。